手・ひじの病気の診療について
手やひじの痛みやしびれは整形外科外来でよく診る症状です。原因によって治療が変わってくるため、まずはしっかりと診断をつけることが大切です。
代表的な疾患として以下のようなものがあります。
腱鞘炎
指の付け根で起こるばね指、手首の親指側で起こるドゥ・ケルバン症候群が代表的です。炎症が起こっている部位の痛みや、使いにくさ、引っかかりが症状として出てきます。使い過ぎによることが多いため、局所の安静、消炎鎮痛剤の外用や内服、注射、手術で治療を行います。当院では使うときの過負荷を避けるためのサポーターの処方や局所の浮腫改善のためのレーザー治療など、病勢に合わせて治療を組み合わせて行っています。
狭窄性末梢神経障害
手首の正中での狭窄が原因となる手根管症候群、手首の小指側での狭窄が原因となるギヨン管症候群、ひじでの狭窄が原因となる肘部管症候群などが代表的です。それぞれ特徴的な部位にしびれや痛みがでることが多いです。頸椎が悪いことによる神経症状と区別が難しい場合や、狭窄の原因としてガングリオンのような腫瘤性病変が考えられる場合は頸椎や局所のMRIを撮影する場合があります。狭窄の原因に応じて消炎治療や注射、手術など適切な治療を行います。大きな病院へ紹介をして神経伝導速度検査を行い、神経の損傷の程度を評価することもあります。
変形性関節症
指の第一関節に起こるへバーデン結節、第二関節に起こるブシャール結節、親指の付け根で起こる母指CM関節症、変形性手関節症、変形性肘関節症などがあります。加齢や外傷を原因として軟骨が減って痛みや変形、可動域制限が出てきます。身体診察と単純X線撮影で診断することが多いですが、関節リウマチとの区別が難しい場合は血液検査を追加することがあります。
腱付着部炎
肘の外側が痛くなる外側上顆炎(テニス肘)や内側が痛くなる内側上顆炎(ゴルフ肘)などがあります。名前の通りスポーツや仕事などで特定の動きを繰り返すことで発症するとされています。使い過ぎが原因のため、手首の使い過ぎを避け、専用のバンドや消炎鎮痛剤の外用・内服で治療を開始することが多い疾患です。病勢によって局所への注射や手術が必要になる場合があります。
骨折
手関節の骨折は骨が弱い高齢者に多い骨折ですが、子供や壮年期にも起こります。転んで手をついて痛みや腫れがある場合は単純X線での評価をおすすめします。また、舟状骨や月状骨、有鈎骨といった手の小さな骨の骨折は単純X線撮影ではわからないこともあり、正確な診断のためにMRIが必要になる場合があります。
他にも肘離断性骨軟骨炎やキーンベック病、デュピュイトラン拘縮など耳慣れない疾患もあり、診断が難しい場合もあります。当院では習熟した医師の診察や単純X線撮影に加え、超音波検査、CT、MRIなどを用いて正確な診断をつけ、そのうえで最適な治療を行うことを目指しています。また、当院での診断や治療が難しい場合には適切な時期に基幹病院への紹介するよう心がけています。
手やひじの不調がある方は一度ご相談ください。